何かと思って出てみると、
母が「買い物に行こう」という。

今日は休みの日じゃない。
私は仕事をしているのだけど。

最近、こういうのが増えた気がする。

今までは自分でタクシーを拾って病院に行っていたのに、
いつの間にか、タクシーを拾うのは私の役目になっていたし、
一人で買い物に行っても、すぐ後に何かと携帯が鳴る。

昨日も、母がマッサージの病院に行くためのタクシーを拾って
部屋に帰り、しばらく仕事をしていたら、
少しして、携帯が鳴った。

出てみると母が、「10点のポイントのレシートをもってきて」と言った。

スーパーで千円以上買い物をすると、ポイントが10点もらえる、あれです。
10点とはすなわち、10円のこと(笑)。

でも、「行かない。その10円、私があげるわ」とは言わない、
たとえ心の中で思っても。

はいはい、とレシートをもって迎えに行きました。


「雨降ってきた、迎えにきて」
「お金忘れた、もってきて」
「タクシーが捕まらない、迎えにきて」

私の時間は縦横無尽に母に割り込まれる。
でも、それでいい、と思う自分がいる。

会社に勤めているときは、ほとんど家にいなかった。

父がいたときはそれでよかったけど、
亡くなってから母は、ほとんど一人暮らしと変わらないような生活をしていた。

今は、仕事ったって、遊びみたいなものだから(笑)。
時間はいつでも、好きなように使える。

その主体が私でなく、母であっても構わない。
母が好きなように使いたいなら、それもいい。

そう思えるようになったのは、私の心が広いからでは、ない。
残念ながら(笑)。

ただ、気持ちに余裕ができただけのこと。

このことだけでも、会社をやめてよかったと改めて思う。

そういえば、もうすぐ敬老の日。
老いた母とその日が来るまで、楽しく暮らしていきたい。


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